この春で大阪を離れられたK先生の仕事を引き継いで、大阪府立中央図書館さんでの研修講師を請け負うことに。対象は大阪府内の公立図書館職員の皆さん、司書教諭・学校図書館担当・学校司書の先生方。

 せっかく会場が府立中央なので、どうせなら参加者の皆さんに探究学習を実体験してもらおうと企画。M先生も参加し、うちの中1の授業「はじめての探究学習」をほとんど踏襲した研修にしてみた。

 参加者がどれくらい探究学習について知ってるか、あるいはどれくらい実務経験があるかもわからなかったので、ひとまず冒頭15分で総論的な解説を僕が担当。文科省の「総合学習」「総合探究」、「自己の在り方生き方」。加えてうちの中学生の「卒業論文」を解説。この辺りはよく使うネタ。今回はできるだけワークショップの時間をたくさんとりたかったので、いつもは30分くらいで喋る内容を15分でやっつける。「昨年登壇した別のセミナーの動画があるので、詳しくはそちらを…」なんて。アーカイブ動画へのQRコードリンクまでつけたけど、いくら時間が無いからって、我ながら酷い。まぁまたの機会に…。

 そのあとはワークショップ。うちの中1の授業でやってる1枚ものポスター「はじたん」を70分で。こちらも授業5回分を凝縮。当然ながら、参加していただいた皆さん完成には間に合わない。でもいいのだ。体験するのが一番大事。中1のこの単元は、普段はM先生が主担当でやってくれてるので、今日もお任せ。僕はちょくちょく補足したり、茶々入れしたり。ざっと作品例や書式を解説したあと、さっそく作品づくりに移る。

 参加者にはそれぞれ事前にテーマを考えていただいてたので、テーマに応じてまずは資料を集めてもらう。府立中央の1Fを中心にあれこれ本探し。さすが学校司書の方が多かったのか、うちの中1生とは比べ物にならないスピードで資料をどんどん集めていく。正直に言えば、今回のワークショップは時間的に破綻するのではと戦々恐々としていたが、杞憂だった。中には事前に府立中央のOPACで棚の場所を調べてこられていた方も。はい、恐れ入りました。

 本を集めたら作品づくり。本から引用して、文献表示を書く。アバター(自分の分身のキャラクター)に、自分の意見・感想を吹き出しで喋らせる。

 当たり前なんだけど、皆さんテーマが多様。そこが面白い。みんなで授業(研修)するんだけど、みんなやることが違う。読む本も違う。作品づくりが全部違う。「デフリンピック」「祇園祭」「ミント」「フォント」「紫外線」…。この日も多様なテーマが挙がってくる。参加者50名くらいで、50通りのテーマと作品になる。やっぱり探究学習面白いよねと、登壇してるM先生と前で喋る。

 皆さん黙々と作業しているのをお構いなしに、いろいろ喋りかけてみる(邪魔)。どんなきっかけでこのテーマにしたんですか? そのテーマの何が面白いですか? いい本ありましたか?って、授業中に生徒に対してやる学習支援と全く同じ。みんなそれぞれの経験や想い語って下さる。こちらも楽しい。

 「実際の生徒はテーマが決まらなかったりして困ることもあったり」「『マインクラフトをテーマにしたい』って言われても、なかなかゲームタイトルそのものの本は少なかったり」みたいな、授業でよく起こるネタも解説。皆さんじぶんの作業に集中しながらも「わかるわかる」と反応をくれる。きっとご自身の職場でも、よく児童生徒の話を聞いてあげてるのだろうな。

 さいごはとなり近所の参加者どうしで作品の講評。当然ながら完成した人なんていないんだけど、即席で作った探究学習の作品は世界に一つで、どの本を選んだかも、どの箇所を引用したかも、すべてその人自身のオリジナル。和やかに、でも熱く、作品語りがはずむ。そりゃ、お互いに大事にしてるテーマがあって、それを承認し合えるのだから楽しい研修になる。よかったよかった。いつもみたいに「中高生が論文を書く探究学習」みたいなネタも良いんだけど、中1のポスターくらいの方が参加者的にはとっつきやすい。

 またこんな体験型の研修やりたいなーと思いつつ、M先生とお喋りしながら帰る。今回の参加者は学校司書がほとんどだったけど、たとえば司書と教諭それぞれが参加するように工夫して、レファレンス役と生徒役に分かれて探究学習を体験するセミナーなんて面白いかも、と思いつく。結局、探究学習で学校図書館がどう役立つか、なぜ大事かって、学校の先生に体験してもらうのが一番なんだと思う。